2010.04.13
独立行政法人福祉医療機構の存続
内閣府の行政刷新会議ワーキンググループでは第2回事業仕分けが開催されることになりました。
第2回事業仕分けスケジュール
http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d7/pdf/ss7.pdf
今回の事業仕分けでも、独立行政法人福祉医療機構が引き続き事業仕分けの候補に挙がっているようです。
報道にあるように、日本政策金融公庫と一元的に取り扱う(合併)ということになると、医療機関が融資を受けられなくなるという事態が想定されます。
日本政策金融公庫の融資対象は営利企業が中心のため、市場原理に基づき利益率の低い医療機関を貸し渋りの対象とすることは十分に考えられるからです。
(独)福祉医療機構の経営安定化資金と似た日本政策金融公庫の融資制度は、経営環境変化対応資金が挙げられます。
●独立行政法人福祉医療機構 経営安定化資金●
http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/iryokashitsuke/index.html
<融資額>
病院7億2千万円以内
介護老人保健施設1億円以内、診療所4千万円以内
(ただし、担保価格の範囲内の額)
<融資期間>
病院10年以内(うち据置期間1年以内)
介護老人保健施設及び診療所7年以内(うち据置期間1年以内)
<融資条件>
経営環境変化により資金繰りに困難をきたしている医療機関の経営者の方
●日本政策金融公庫 経営環境変化対応資金●
http://www.c.jfc.go.jp/jpn/search/31.html
<融資額>
7億2千万円以内
<融資期間>
運転資金 8年以内(うち据置3年以内)
<融資条件>
最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少しているかた
両融資制度はそれほど相違がないように見えますが、融資期間一つをとっても(独)福祉医療機構の方が2年長くなっています。事業仕分けの国会議員としては(独)福祉医療機構の融資制度をそのまま日本政策金融公庫に移行するということを考えているのでしょうが、明文化されていない融資基準や保証の有無などで合併前後で差異が生じる可能性があります。
融資の基準について日本政策金融公庫は前年比売上5%減など財務数値を重視しています。仮に、22年診療報酬改定により3%増になるとこの融資は受けられません。つまり、診療報酬が引き上げられても資金繰りが厳しい医療機関の場合、日本政策金融公庫から融資を受けられないということになります。
また、通常日本政策金融公庫は診療報酬制度や医療制度に対する知識を有していないので、看護配置アップのための看護師増員や加算取得のための医師事務作業補助者増員などについてもなかなか理解してもらえません。
(独)福祉医療機構は、社会医療法人については金利を引き上げることなく保証人を不要としています。これも社会医療法人制度について理解が乏しい日本政策金融公庫となった場合、保証人は必要とされるかもしれません。
総論として天下りを排除するという政府の考え方には理解できますが、(独)福祉医療機構の融資は民間医療機関にとって命綱です。日本政策金融公庫や民間金融機関が通常貸し出しできないような案件に対しても(独)福祉医療機構は融資の対象としています。
政府が、医療や介護を成長産業として考えているのであれば、融資枠の拡大、融資基準の緩和は必須です。度重なる診療報酬の引き下げにより全国の医療機関の資金繰りが苦しくなっています。特に、短期資金の返済に苦しんでいる医療機関の現状を打破するためには、(独)福祉医療機構のような組織が必要です。
(独)福祉医療機構の存続を政府に強く要望いたします。(筆:長英一郎)

