連載[地域医療はいま かごしま医師不足]3/離島の産科(下)・長崎、ドクターヘリ=全県挙げ搬送網整備
2007.07.23 朝刊 (全1,320字)
鹿児島県内の有人離島は二十八。県人口の約一割が居住し、出生数も二〇〇五年で千五百二十九人(薩摩川内市甑島地区除く)と県全体(一万四千八百三十四人)の一割を占める。県保健医療福祉課によると、周産期医療施設は種子島、屋久島、奄美大島、徳之島、沖永良部島の五カ所に整備されている。
同様に多くの離島を持つ長崎県。島の総数五百九十四のうち、有人離島は五十五に上る。その離島医療を支えているのが一九六八年につくられた一部事務組合、県離島医療圏組合(県、三市一町で構成)だ。対馬、五島で九病院を運営、うち七カ所がへき地医療拠点病院になっている。ほかに離島市町とともに常勤診療所二十八を持つ。
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県がかかわることで、長崎大学や大村市にある国立病院機構長崎医療センターとも連携を深めてきた。医師の確保や派遣は組合が主導的に実施。赴任した医師は公務員の資格を得る上、任期二年のうち半年は給与保証の上で全国どこでも研修に行けるシステムを持つ。人口の多い離島の病院には安定的な医師確保を実現しているという。
診療所はこれまで市町村が医師確保に努めてきたが、困難な情勢となったため、二〇〇四年四月に県離島・へき地医療支援センターを設立。支援センターの所長は現役の医師が務め、離島を経験した同じ医師として生活、仕事などあらゆる相談に乗り、きめ細かいケアを行う。関係者は「離島でこれほど医師が確保できているのは珍しいのでは」と胸を張る。
同県で離島人口の占める割合は鹿児島県と同様の一割強。周産期医療は五つの島で七病院が対応する。うち産婦人科医二人体制の病院が五カ所あり、保育器なども備える。新生児集中治療室(NICU)はないが、二次的な機能はあるという。長崎県医療政策課では今後、総合周産期母子医療センターの整備に着手、産科医研修の拠点を目指すほか、患者搬送ネットワークの強化を目指す。
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一方、搬送態勢の目玉が昨年十二月に導入したドクターヘリだ。県が実施主体となったのは全国初。大村市の国立長崎医療センターに常駐し、同センターの医師、看護師が搭乗する。年間運航費約一億四千八百万円は、国と県が半額ずつ負担する。
ヘリは離島搬送を考慮し、他県に比べ航続距離の長い機種を選定したという。導入後の運航実績は百五十七回(五月末現在)。離島の場合は現場到着に時間がかかるため救急救命での出動は少なく、ほとんどが離島病院から国立病院などへ産科を含む患者搬送に利用されており、件数も五十一件に上る。
これまでの同県の患者搬送は海上自衛隊ヘリがほとんどだった。現在はその四割近くをドクターヘリが担う。「病院敷地内に離着陸する利便性と、専門の医師、看護師が搭乗する安心感は患者にとって大きいはず」と担当者。
さらに患者搬送の際に送る病院、送られる病院間で画像伝送などを行い、必要性緊急性を判断するシステムもある。支援センターでは「離島医療は連携がないと駄目。診療所、拠点病院、三次病院とのチーム医療が大事」と話している。島外出産しかできない小規模離島への出産補助金制度も本年度から整備。少子化対策と安心安全な暮らしづくりへ、全県挙げての態勢づくりで鹿児島県の一歩先を行く。
南日本新聞社