2007.07.01

医師探し半年余、着任直前の辞退 地域医療、担い手確保かくも困難…岡部・朝比奈診療所 町は困惑、落胆

医師探し半年余、着任直前の辞退 地域医療、担い手確保かくも困難…岡部・朝比奈診療所 町は困惑、落胆 2007.06.30 朝刊 31頁 静岡 一社 (全857字)

 
 岡部町新舟の公設医院「朝比奈診療所」に七月から着任予定だった東京都内の開業医(48)が直前になって一方的に辞退していたことが二十九日分かった。現在の医師(71)の退任に伴い、半年以上医師探しを続け、ようやく招へいを決めただけに、町は困惑と落胆を隠せない。

 朝比奈診療所は町北部の朝比奈地区(人口約二千四百人)の地域医療を確保するため、昭和四十二年に町が開設した。平成七年から在任する現医師は高齢と健康面の不安を理由に昨年十一月、町に退任の意向を伝えた。町は診療所の存続を望む住民の声を受け、後任の医師探しを始めた。

 医療専門誌に募集を掲載したところ、この開業医から応募があり、数度の面接を経て、招へいを決めた。診療科目は内科と外科、眼科、七月二日から診療を開始することも決定した。井田久義町長は町議会六月定例会で「地域で診療所をはぐくんでいきたい」「特に眼科は町内に開業医がいないため期待している」と報告していた。

 ところが、六月中旬になって、開業医が突然「休日当直医や救急医はできない」「診察は週三日間だけにしたい」と申し入れた。休日当直医などは診療所の医師が加入する志太医師会の会員の義務。週三日の診療についても「地域の公的医療機関として認められない」と町側が難色を示すと「もう行く気にならない」と通告。町の説得に対しても一方的に接触を打ち切ったという。

 まだ正式契約を結ぶ前だったため、町に大きな損害はないが、井田町長は「あまりに不条理で憤りを覚える。面接の時は信頼できる方だと思ったのに」とがっくり。休日当直医などについても「面接で十分説明した」という。

 開業医の家族は取材に対し「町とは話がついていると思うので、もう終わりにしてほしい」と話した。

 同診療所は二十九日から診療を休止した。「地域医療をどう守るかもう一度検討したい」と井田町長。後任の医師を再度募集するかについては未定という。