2007.04.10

宮城県立病院

宮城県立病院の繰越欠損157億円と資本剰余金の相殺は問題ないか?

 繰越欠損は医業利益でのみ相殺されるのが公営企業会計の原則である。資本剰余金で相殺できることが明らかになったということであれば、それは破綻の自主宣言といわざるを得ない。県立の廃止など民営化などが行われ、今後繰越欠損が発生しない開設主体の変更を前提として宮城県議会は承認したのであろうか?
  キャッシュ・フローがまわらなくなってどうしようもない3割の自治体病院は民間でいえば既に倒産状況であり、更に6割の赤字病院も近い将来はその予備軍となることが必至である。
  従って議会が取り崩しを承認したからといって、財務体質の改革がなければ所詮破綻は免れないというべきである。また、税金繰入により黒字というお話も内容(次項)を精査して改めてコメントとしたい。(文責 長 隆)

  宮城県病院事業管理者の久道茂氏は、10月27日、都内で開かれた日本病院管理学会で「病院のCEO?病院事業管理者の役割」をテーマに講演した。   その中で、久道氏は「自治体からの税金繰入により15年には宮城県の3病院合わせて単年度黒字になった。さらに、今年6月に県議会に資本剰余金157億円の取り崩しを提案し、了承されたことが赤字削減につながったと報告。また、「自治体病院は6割が赤字とされるが、中身を見るとキャッシュフローがまわらなくなってどうしようもないのは3割」と指摘。そのような実態を分析し、職員に説明することが病院事業管理者の役割であり、自治体病院は管理者をもっと設置すべきと提案した。(社会保険旬報 11月11日発行)


「県立病院の経営形態に関する検討委員会(第2回)議事録」
再び繰越損失と資本剰余金相殺について宮城県議会の承認に問題あり

【日時】平成17年5月17日(火)15:00から17:30)

<講 演>
「宮城県の現況等について」(一部抜粋)
講師 宮城県病院事業管理者 久道 茂氏

(略)
宮城県の貸借対照表と損益計算書です。貸借対照表と損益計算書は、各病院の年報に詳しく載っています。
  これは、貸借対照表と損益計算書を見るときはここだけでいいという資料です
  上段の表は不良債務に陥っている県立病院のものですが、平成13年度単年度で4億2,300万円の赤字、累積欠損金は134億円となっています。
  左の貸借対照表はその財力を示すもので、2カ所だけ見ればいいと教えております。例えば、流動資産とは、いつでも現金として引き出せるお金ですが、この病院は30億円の流動資産がある。それから、右の方の流動負債額が大事で、流動負債というのは、1年以内に返さなければいけないお金のことで63億円あります。そのうち46億円を一時借り入れしており、要するに自転車操業です。返さなければならないのが63億円あり、返せるお金が30億円、これでは当然パンクで33億円の赤字となっています。この赤字を不良債務といいます。
  この不良債務の額が医業収入の10パーセントを超えると起債ができなくなります。要するに、この病院はもうつぶれていて、なすすべ無しという状況です。
  こうならないようにするために宮城県はどうか。宮城県は155億円の累積欠損金があるのですが、この欠損の借金取りは誰もいません。ただ数値がこうなっているだけの話なので、借金取りが来ない欠損です。
  上の表は私が管理者になる前の平成13年度のものですが、年間6億7,000万円の赤字となっています。結局、トータルで155億円の累積欠損金なのですが、単年度で6億7,000万円の赤字は県の一般会計で補てんしているわけではありません。何で補てんしているのかというと、内部留保資金です。
  内部留保資金はどうやって出るのかというと、結果的に現金の支出を伴わない減価償却というものがあります。宮城県の例ですが、12億円の現金を出したふりをして、また懐に戻すわけです。その12億円で今年度の赤字を払えばいいわけです。そうしますと、残りの約6億円弱は内部留保資金としてたまっていくことになります。ところが不思議なことに累積欠損は減りません。ここで累積欠損金とは赤字の累積であり大変だという誤解が生じるわけです。現実問題、毎年、累積欠損金解消のために一般会計から繰出金で補てんしているという気がしますが、そんなことはありません。実際、宮城県では、赤字を補てんするために、別途に一般会計から病院企業会計に金を出したことは一度もありません。
  それでは、財力はどうかというと、流動資産が33億円あって、流動負債が14億円です。一時借入金は一銭もない。そうしますと、結局約20億円ぐらいの現金があるということになります。動かせる金がある。これをキャッシュフローが回っていると説明します。要するに、皆さんのボーナスをちゃんと払えますよと。
  本当に現金があるかどうかはちゃんと確認しました。私は病院局の責任者から通帳を持ってきてもらって、普通預金の残高を見たら30億円近くあります。それを不正経理されないようにたまにチェックする必要があります。これは年に2?3回します。そうしますと、職員がそのことで安心し、この150億の累積欠損はあまり大したことないとなるわけです。現に、今年の2月、平成16年までに161億円まで累積した資本剰余金を取り崩して、累積欠損金を4億7,000万円に減額しました。私はなんら働いたわけではないのですが、資本剰余金を取り崩すことができるという法律に書いてあることを行っただけで、一気に宮城県の病院事業会計の累積欠損は現時点で4億7,000万円になりました。議会でも皆不思議がっているのですが、不思議ではないから大丈夫だと納得させて、現場の病院の職員には、あとは赤字を出すのは皆さんの責任ですよと言っています。それまでの累積欠損金の160億円を利益剰余金で解消していったら100年以上かかるわけですから、インセンティブは働きません。そういう操作が可能な場合にはしたほうがいい。しかし、茨城県は資本剰余金があまりないので、そのようなことはできないようですが、合併するような市町村立の病院では、私はぜひこれをやってくれと言っております。
(続く)

→これは不可と考えております。(文責 長 隆)