『地方財政健全化法は09年4月施行 財政破綻の前に健全化を促す。・・夕張市はレッドカードで即退場となったが、イエローカードの仕組みができた」(江夏あかね同証券シニアクレジット・アナリスト)と評価』
日興シティG証券がセミナー、地方財政健全化法に注目する地銀・自治体
2007.06.29 ニッキン
日興シティグループ(G)証券は6月21日に「地方自治体クレジットと地方債市場」に関するセミナーを東京・新丸ビルで開催した。6月に地方財政健全化法が成立し、地方銀行や自治体関係者など約100人が参加した。また、公共金融分野が専門のデクシアクレディローカル銀行東京支店の活動も紹介した。
地方財政健全化法は09年4月の施行で、財政破綻の前に健全化を促す。「サッカーに例えると、夕張市はレッドカードで即退場となったが、イエローカードの仕組みができた」(江夏あかね同証券シニアクレジット・アナリスト)と評価。今後は地公体本体ではなく、第三セクターに焦点が集まり、財政健全化団体と財政再生団体に選別する動きも活発になると予測する。
今年3月の改正所得税法により、08年1月から非居住者が受け取る振替地方債の利子課税は、現在の15%から非課税になる。海外投資家の新規資金が流入すれば、需給環境の改善も期待できる。
10年以上の超長期債(融資、地方債投資)や仕組み債を地公体に提供するデクシアクレディローカル銀行は、06年11月に銀行免許を取得し日本に進出した。「当行はフランス政府系金融機関が前身。地方銀行と補完的で相乗的な関係を築きながら、日本の地方財政に関わっていきたい」(ロベール・ヴェルディエ東京支店長)と話している。
(参考記事)
「基礎体力」を強めたい
2007.06.26西日本新聞社【社説】
病気を治す鉄則は「早期発見・早期治療」だといわれる。地方自治体の財政悪化への対応も同様といえるだろう。
財政破綻(はたん)を未然に防ぐため、地方自治体に適用する新たな再建法「自治体財政健全化法」が国会で成立した。
巨額の借金を抱えて財政再建団体へ移行した北海道夕張市の財政破綻が新法制定の引き金となった。自治体財政のいわば健康診断をする客観的な指標を整えて公表を義務付け、破綻に至る前の段階で早期是正する仕組みを導入した。
議会や住民の目を欺くような「隠れ借金」や帳簿上のつじつま合わせで不正を隠ぺいするような「粉飾決算」はもはや許されない。「最後は国が面倒をみてくれるだろう」という安易な親方日の丸意識とも決別しなければならない。
地方自治体はこれを契機に足元の財政状況を再点検し、たとえ負の側面であっても、住民に情報公開してほしい。また、議会や監査委員は住民本位の視点で監視機能を強めるべきだ。私たちも地方財政に対する関心を深め、点検を怠らないように心掛けたい。
成立した財政健全化法は、自治体本体の収支を問題としていた従来の再建法制を改め、水道や病院など公営企業を含む全会計をチェックするのが特徴だ。
実質赤字比率▽連結実質赤字比率▽実質公債費比率▽将来負担比率の四指標を健全化判断比率と定め、「監査委員の審査に付した上で、議会に報告し、公表しなければならない」とした。
これらの数値が一定の水準を超えた場合、財政健全化団体となり、早期是正を促される。それでも財政状況が悪化した場合は、災害復旧などを除いて地方債の発行が制限される財政再生団体へ移行する二段構えの仕組みだ。二〇〇八年度決算から適用される。
公営企業や第三セクターは、甘い収支見通しや営業努力の不足などで目標の採算を割り込み、自治体財政を圧迫する事例が少なくない。新たな指標の公表で、そうした「放漫経営」があぶり出される事態も予想される。
「(公表した)数字が独り歩きするのではないか」という自治体側の懸念も根強いという。しかし、財政破綻という最悪の事態を避けるためにも、地方財政の透明化はぜひとも進めねばならない。
新たな破綻法制で自治体再建の枠組みは一応できあがった。一九五四年度の赤字団体を対象に制定された地方財政再建促進特別措置法という臨時的な特措法を半世紀以上も準用してきたこと自体が異例であり、遅きに失した感すらある。
健康診断の新指標はできたが、病気にならないためには、基礎体力をつけることが何より重要だ。地方財政に当てはめれば、国から地方へ権限と財源をセットで移していく地方分権が欠かせない。新たな再建法制への対応も、そんな地方分権改革の一里塚だと考えたい。