2007.12.17

『公立病院改革 不適法な労働協約は解約を通告しなければならない』(長 隆)

『公立病院改革』
経営権・運営権は「市民の視点」で「ガラス張り行政」を目指す立場から、不適法な労働協約は解約を通告しなければならない。団体交渉事項と管理運営事項を線引きし、新しい労働協約を締結し、新しい労使関係をスタートさせる義務が組長と議会の責任である。
公立病院改革の経営形態の変更に当たっては、労使ともに現行の法律を厳守して、市民の期待に応えていただかねばならない。地方公営企業労働関係法では、賃金等の労働条件に関わる事項について団体交渉を行い、合意された内容を労働協約という文書で交わすことができるとされているが、管理及び運営に関する事項は団体交渉の対象にできない。

(これからのモデル先例・・)
島根県労働委員会からの勧告もある中で労使で調整を行い、3月12日に基本合意に達しました。
その内容は次のとおりです。
(1)団体交渉事項と管理運営事項を明確に線引きし、今までの労働協約を解約し、新たな協約を締結しました。(100項目程度を解約)

(資料・島根県 松江市まつえ5月号目次 広報まつえ 2003.5)
発行 平成15年5月1日
編集 松江市水道局総務課 TEL55-4846 FAX55-4890

労働組合と結んでいた労働協約が管理者の専権事項である経営権・運営権を阻害していたため、これを見直し団体交渉事項と管理運営事項を線引きした労働協約を締結しました。これにより、新しい労使関係がスタートし、厳しい経営環境に職員一丸となって取り組むこととなりました。
昨年来、新聞等で水道局内の労使問題について報道がされ、皆様にご心配をおかけしましたが、本年3月に決着しました。
本来こういった問題は当事者間の問題として扱われ広く説明がされてきませんでしたが、水道の経営に深く関わる問題であり、「市民の視点」で「ガラス張り行政」を目指す立場からもこの間の経緯についてご説明いたします。
◆労使交渉経過
(1)厳しい経営状況と新しい時代に即した労使関係樹立のため今までの労働協約の見直しを労働組合に申しいれる。
(2)交渉を行うが進展がないため労働協約の解約を通告する。
(3)組合側は労働協約の有効性を求め島根県地方労働委員会にあっせんを申請。
(4)地方労働委員会からあっせん案が提示される。
(5)勧告を受ける中で労使で調整を行い基本合意する。
(6)団体交渉事項と管理運営事項を線引きした新しい労働協約を締結し、新しい労使関係がスタートしました。

●なぜ労働協約の見直しを行わなければならないか。
それは、将来的な経営見通しによります。
平成13年度末現在の利益剰余金は約16億円となっていますが、一方で借金にあたる企業債の残高が約106億円もあり厳しい経営状況にあります。
それに加え更に、尾原ダム受水(平成23年度受水予定)に伴う必要な施設(配水池、水道管等)のために今後10年間で約120億円の投資が見込まれ、より一層、経営の改善が求められます。

※尾原ダムとは
国土交通省が木次町に建設中の多目的ダムで、平成20年度前半に完成予定とされています。この水を利用して島根県が水道用水を製造し松江市を初め10市町村に水を供給する計画となっています。松江市の水需要予測では、人口の増加、下水道の普及、簡易水道の統合などにより、今の水源では不足すると予想しており、尾原ダムからの受水でこれを乗り切ろうと考えています。又、島根県東部ではこれ以上ダムを建設する適地が見込めないため、尾原ダムは最後の水源とも言われています。
こういったことから、水道局では行財政改革の一環として次の事に取り組むことにしました。
(1) 各種事業の再点検
(2) 委託による業務の効率化の推進
(3) 下水道事業等公共工事との共同施工
(4) 各種手当の見直し
(5) 簡易水道・松江鹿島水道企業団・下水道との業務統合による関連組織のスリム化

しかし、ここで問題となりましたのが、労働組合との関係でした。
水道局では、。
法律はこうなっていますが、実際は管理・運営事項と思われるものを含んだ多くの事項で労働協約が締結されていました。
こうなりますと管理者の経営権・運営権が拘束されるということになり、思うように改革が進まないということになります。
このような状況を踏まえ法律に基づき、管理運営事項を団体交渉事項から外した新たな協約を締結することが必要であると判断し組合側に申し入れることとしました。

●団体交渉事項と管理運営事項との違いは
ア、 「団体交渉事項とは」賃金、労働時間、昇給、休職、労働安全等に関することをいい
イ、 「管理運営事項とは」事業計画の企画・立案、職員の採用、職員定数、予算管理、財産管理等に関することをいいます。

●見直しの交渉経過と結果はどうなったか
管理運営事項を団体交渉項目から外し新たな労働協約を締結するよう、昨年10月31日、労働組合に申し入れしました。
交渉は何回となく行いましたが、平行線のままで解決の糸口が見出せないため本年1月14日にこの労働協約を解約する通告を行いました。
組合側はこれを不服として1月21日に島根県地方労働委員会に労働協約の有効性を求めあっせんを申請。
労働委員会では両者の意見を聴取のうえ、2月18日にあっせん案を提示されました。その内容は管理運営事項については相互に意見交換は行うものの必ずしも合意を要しないというものでした。
その後労働委員会からの勧告もある中で労使で調整を行い、3月12日に基本合意に達しました。
その内容は次のとおりです。
(1)団体交渉事項と管理運営事項を明確に線引きし、今までの労働協約を解約し、新たな協約を締結しました。(100項目程度を解約)
(2)行財政改革の趣旨に従って、諸手当の廃止及び見直しを行いました。(15件)
(3) 労使の基本的な関係を定めた協定を法律等に基づいて見直しました。

●これからの労使関係はどうなるのか
この労働組合との労働協約の見直しについては、近い将来の状況を考えると経営者として避けては通れないものでした。
労使関係が改善するまでには各方面の皆様方にご尽力を賜りました。深く感謝申し上げます。
今後は健全な労使関係を構築し、水道の使命であります「安全な水を安定的に安価で」供給するために、職員一丸となって改革を実行してまいります。

●現在、実行しつつある改革は
(1) 約120億円の投資を極力抑えるため10ヵ年の事業計画の見直しを行っています。
(2) 本年7月からメーター検針の民間委託を開始し、平成16年4月には全世帯を対象に実施します。
(3) 本年7月に簡易水道の受託による業務統合を行います。
(4) 近い将来には、下水道・松江鹿島水道企業団との業務統合を行います。又、市町村合併による上下水道及び簡易水道の管理形態の検討も行います。

●水道局の情報公開の考え方
以上、水道局の労使問題を通して水道局が抱えている課題と今後の経営方針をご説明いたしました。これからも市民の皆様に情報公開を積極的に行い説明責任を果たしてまいります。
又、近く、皆様の意見を水道事業に取り入れるようなシステムを構築し開かれた水道局を実現したいと考えています。
今後とも水道事業にご理解を賜りますようよろしくお願いいたします。

松江市水道事業管理者 水道局長 小川正幸

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