『国会議員も党派を超えてこれ以上の医療崩壊を防ぐため立ち上がった事を高く評価したい』(長隆)
国会議員も党派を超えてこれ以上の医療崩壊を防ぐため立ち上がった事を高く評価したい。
小笠原加奈子先生(虎の門病院産婦人科医師)の現場の悲痛な叫びを聞いた多くの国会議員が12日の日比谷公会堂のシンポジウムを皮切りに、公立病院で当直して深刻さを体験してほしい。
さらに無駄な税金投入を垂れ流している自治体の組長・議員も当直に立ち会って無制限に繰り出しの改革プランを策定すべきである。産めない・育てられない町はあげて管理者の責任である。
小笠原医師(虎の門病院の産婦人科)
「今は既にぎりぎりの線を越えてしまって、もう医療崩壊は避けられないかもしれないと思っているのですが、まだ何とか間に合うとも思います。
本当の最前線の現場で命を懸けて戦っている産婦人科医医師、特に分娩という非常に厳しい現実の中で戦っている医師、それに産科・婦人科に限らず救急の現場も脳外科も全部そうですけども、命に関わる現場でこうしている今も命を懸けて戦っている先生方をなんとかこれ以上辞めないように辞めないようにと、今すぐ対策を立てていただきたいと切に思います。
何卒よろしくお願いいたします。」
この悲痛な訴えに公立病院改革ガイドラインはきちんと答えています。小手先の改革で誤魔化さない様に改革プランを策定をしていただかねばなりません。
医療議連 議事録抜粋
周産期医療の危機的現状と改善策について
以下小笠原医師の ご意見
こんにちは。私は虎の門病院の産婦人科に勤務しております小笠原と申します。
まさに30代半ばで、家庭を持っております。
現在の産婦人科医療、特に産科医療を今すぐ助けていただきたいと思います。
産婦人科医師と言いますと、皆さんは産婦人科医師全員がお産をとっていると思っていらっしゃるかもしれませんが、実際に分娩の立会いをしている医師と言うのはどんどん減っておりまして、私が知っているだけでも30代女性医師が去年3人産科を辞めました。
分娩も何もとらない、当直もないクリニックに異動しています。
でも、私たちはそれを辞めるなとは言えないんですね。
辛い状況を十分すぎるほど知っていますので、実際に辞めてしまう人を追うこともできませんし、また、これから入ってこようとする人に対してこの現場の状況を見せた段階で、「是非入ってください」と言うこともできないほど厳しい状況です。
実際この私も昨日の朝からずっとの勤務で、当直明けで、さらに午前中は外来をやって今ここに来たので、ほぼ一睡もしていない常態です。
実際こういうのが月に何度も何度もある上に、更にオンコールと言うタダ働きなのですが、時には呼ばれて手術をして、また帰って次の日朝から外来や手術をして、ということがあります。
つまり寝ていない医師が外来をやり、手術をやると言うのが当たり前の状況になっているんです。
こういった場合、つまり寝ないで仕事をしている場合は、酩酊状態と同じ判断力であるというデータも出ているのですが、そういう状況で5時間6時間の癌の手術もしています。
そういう状況になっていると言うことがどういうことかということをぜひ皆さんにご理解いただきたいと思っております。
こちらで「正常分娩」と言うお話がありましたが、「正常」と言うのは全部終わって初めて言えることです。
もちろんリスクが高く厳重な管理をしなければいけない分娩もあるのですが、全くノーリスクであろうと思っていた人が、突然病気になって死んでしまうことがあるのが分娩の現場です。
何度も言いますが、分娩と言うのは終わって初めて「正常であった」と言えるものであって、全くノーリスクであったはずの人なのに、振り返って見てみたら大出血していることがあります。
実際、何らリスクがないはずであろう若い方の分娩で2000cc近くの出血があっという間に起こることもあります。それがお産の現場です。
細かいことを言い始めるときりがないのでこの辺で終わりにしますけれども、私たち産婦人科医にとって大野病院の事件と言うのは衝撃どころではなく、もうほとんど爆発に近いようなインパクトがありました。
実際私はその現場を見たわけではありませんし、もれ伝わってくる内容でしか判断できませんが、1つ言えることは、現在、現場で働いている産婦人科医師、とくに分娩を扱っている医師の間では、あれは逮捕されるべき症例だったのかということについて、みんな疑問というかおかしいと認識しております。
あの事件では人が1人亡くなっています。赤ちゃんは助かっているのですけれど。そうすると、マスコミの方は、「人が1人亡くなっているのだから!」との前提で行動をしますし、国民を煽るのですが、実際にお産と言うのは亡くなることがあるのです。
繰り返しますが、お産というのは、突然病気になって死ぬことがあるのです。
それが現実ですので、病気になって亡くなった人を助けられなかった場合に、それを医師のせいだと言うのであれば、私たちはもう現場から去るしかないのです。
過失がなければ死ななかったとすぐ言われるのですが、過失がなくても病気では人は亡くなるのです。
でも、あちこちで「過失が無ければ亡くなることは無い」というような判例が出てきております。
実際に大野病院の事件が有罪になってしまった場合、本当に半数以上の産科医が辞める可能性があると思います。
先ほど、静岡県と長野県のデータがありました。私は静岡に勤めていたことが長いものですから非常に辛い数字だったのですけれども、実際に僻地の病院では当直5回とかというレベルではなくて、常勤医のみでほぼ24時間365日拘束でした。
そういう状態で、働いていた経験があります。麻酔科医がいない中自分で麻酔をかけて帝王切開などの手術をしていました。
そうせざるを得なかったので、やっていました。いないものはどうしようもなかったのです。
が、あれがもし駄目だと言われるのであれば、もうすることはありません。
善意でやったことに関して、後からけしからんと言われるのであれば続けることができませんので、もう撤収するしかないということになりますが、果たしてこう考える医師がおかしいのか、ということを是非皆さんに伺いたいですし、是非お考えいただきたいと思います。
確かに、これから入る産婦人科医を沢山増やすことも大事です。
ですが、今現場で一番問題となっておりますのは30代40代の中堅医師がどんどん刃こぼれがするように辞めていることです。
私たち医師は心だけでは患者さんを助けられません。
冷たいようですが。「職人」なのですから専門的な技術を伝承する必要があります。つまり、修羅場の乗り切り方も、手術のいろいろなやり方も、どんどん若い人に伝えていかなければいけません。
皆で一緒に苦しい思いをし、亡くなる患者さんもいた上で乗り越えていかなければいけないのですけれども、中堅の指導できる立場の医師がどんどん現場を辞めておりますので、そのようなことすらできない状況になっております。このままの勢いで中堅医師がどんどん辞めてしまったら、「さあ産婦人科やりますよ」、という医者が入ってきた場合誰が教えるのか?という状況になってきております。
今は既にぎりぎりの線を越えてしまって、もう医療崩壊は避けられないかもしれないと思っているのですが、まだ何とか間に合うとも思います。
本当の最前線の現場で命を懸けて戦っている産婦人科医医師、特に分娩という非常に厳しい現実の中で戦っている医師、それに産科・婦人科に限らず救急の現場も脳外科も全部そうですけども、命に関わる現場でこうしている今も命を懸けて戦っている先生方をなんとかこれ以上辞めないように辞めないようにと、今すぐ対策を立てていただきたいと切に思います。
何卒よろしくお願いいたします。