2008.05.14

『公立病院改革懇談会(第2回)議事概要』

1.開催日時等
開催日時: 平成19年8月29日(水)13:30から15:30
場所: 全国都市会館
出席者: 長隆座長、相澤孝夫委員、今岡輝夫委員、島崎謙治委員、和田頼知委員、小山田惠(社)全国自治体病院協議会会長、末岡泰義山口県光市長(全国自治体病院開設者協議会副会長)、栗谷義樹酒田市立酒田病院、栄畑潤大臣官房審議官、平嶋彰英公営企業課長、濵田省司地域企業経営企画室長 他

小山田惠(社)全国自治体病院協議会会長

・ 経済第一主義、経営の合理化あるいは効率化が先行するような改革は自治体病院の設立の趣旨からしてそぐわないもの。

・ この度の改革が、自治体病院の医師あるいは病院を管理している職員にとっては、自治体病院の将来に対して希望を失う、倒産に追い込むのではないかと不安を抱えている。

・ その地域で必要な医療を提供するために地域の総意で開設された自治体病院の経営基盤は、不採算部門についてしっかりと一般会計において繰入がされることが基本である。それ以外の部分の健全化については当然自治体病院関係者の責務である。

・ まずは現在法律上で認められている地方公営企業法の全部適用によって改革すべき。しかし、全部適用において人事権、予算権の大幅な権限が与えられたとしても、実際のところ職員の採用については人事委員会、予算や契約については議会の承認を得なければならず、制約を受ける。

・ 都会には民間病院が存在すれば自治体病院は要らないとの意見もあるが、その自治体病院の役割や提供される医療の質まで検討した上でなければならない。

・ 統合・再編について、関係者は総論は賛成だが、各論に入ると反対が起こる。

首長と首長(自治体間)の壁、医師・出身大学の違い、地域住民の反対など。しかし、医師不足や経営悪化のために再編・統合を行なければならないとする
ならば、国が指導的な立場で政策的にも財政的にも期間を限定して実施していかなければ進まない。

・ 経営形態の見直しについて、経営が悪いからすぐに民間譲渡とか公設民営ではなく、地方公営企業法の全部適用で健全化ができる。それでも限界があるときには地方独立行政法人の非公務員型へ移行することはやむなし。


末岡泰義山口県光市長(全国自治体病院開設者協議会副会長)

・ ガイドラインが本当の意味での公的病院の再生に繋がるものであってほしいと祈念する。

・ 経済性だけの議論が先行し、地域の医療を確保するための議論がなされていないままにガイドラインが示されるようなことがあってはならない。

・ へき地医療拠点、小児救急医療拠点、救急救命センターといった不採算分野を担うのが自治体病院の存在意義である。国民の命に関わることは行政が守るべき大きな責務である。

・ 国が責任を持って国民が平等に一定水準の医療を受けられるようにすべきであり、代わりに地方自治体が地域に必要な医療を提供するのであれば、それを支援するのが国の役割ではないか。

・ 自治体病院の果たすべき役割、存在意義についてガイドラインにおいて示すことが先決である。

・ 自治体病院は地域医療の確保の面から欠かすことのできないものであり、経営が悪化したからといって簡単に廃止することはできない。

・ 病院の経営改革は、地域の医療の需給状況をしっかり見直して地域において必要医療を確保するための方策を検討していくことが大事である。

・ 自治体病院の経営改善だけに目を向けるのではなく、地域医療を確保することを前提に議論をしていただきたい。

・ 自治体病院の7割が赤字であり、その要因として国の医療費削減計画が大きな影響を与えているが、その他に構造的な問題がまだまだあると認識している。
費用面では職員給与費が民間と比較して高いと言われるが、国の人事院勧告を基本として給与が決定された経緯があり、民間並みに一気に改革することは困難である。また、自治体職員の年齢層が高い。民間のように若い人をたくさん確保できれば給与比率は低くなる。自治体病院は新陳代謝が進まない現状にある。ガイドラインにおいて民間の給与費比率を参考にする基準を設ける場合には、病院の特性によって給与単価が異なるわけであり、一律な基準ではなく、細分化されたガイドラインになるように検討してほしい。わざわざ比較が困難な民間病院の給与費比率を使わなくても地方公営企業決算の規模別指標を詳細に分析して比較数値として示す方がよいのではないか。

・ 公務員の定員管理については、病院事業においては看護師の数が収益の向上をもたらす側面もあるので、定員の削減対象外としてもよいのではないか。

・ 健全化法の新たな指標については、一律の基準にするのではなく、地域の特性も考慮する方式を検討してもよいのではないか。首長の中には、病院、診療所の赤字は連結決算、実質公債費比率から除いてほしい、との声もある。

・ 病院事業が一般会計に与える財政負担についての指標を創設し、地方自治体の負担能力を超える場合は、病院事業以外の方法で医療を確保することを検討するよう促してはどうか。

・ 再編・ネットワーク化について、地域医療計画の中でモデルプランを示すなど、都道府県が積極的に関与していくことが必要である。また、再編・ネットワーク化が進むような財政支援措置が必要である。

・ その地域に規模の大きい国立病院や民間病院があれば、地元が自治体病院を経営する必要はないのであり、全ての国民が平等に医療を受けることができるためにも国がその責務を負うべきである。そのための財政支援をお願いした
い。


栗谷義樹酒田市立酒田病院

・ 酒田市立病院と県立日本海病院は、昨年9月に山形県知事と酒田市長が再編・統合を合意し、現在、来年4月に予定されている地方独立行政法人としての設置・スタートに向けてその作業に忙殺されている。

・ 庄内地域は、人口31万人程度、山形県の4つの医療圏の1つである。山形県は公立病院の一般病床に占める比率が43%と全国でも一番高い水準である。

・ 再編への取組の端緒は、改築に関し、有識者による外部委員会を発足し、検討を重ねたこと。その結果、県立日本海病院と経営統合し、一般型の地方独立行政法人に移行すべきとの内容の報告書がまとめられ、17年12月に酒田市は県に対して経営統合を申し入れた。

・ 県の回答は、県立病院事業全体の最適化を検討するため、外部監査事業を計画しており、その結果が出るまで待ってほしいとのことであった。その後昨年8月に県に報告書が提出され、その内容は北庄内の病院再編については酒田市の外部検討委員会の結論とほとんど同様のものであった。

・ 地域の医師会でも両病院の統合を強く希望していた。医師の地元定着率が低く、医師不足がそれぞれで発生している状態であり、両者の様々な意見が一致して、今回の再編・統合となった。

・ いくつか要望について意見を述べたい。
?再編・統合により生じる病棟除去費用、解体費用などに対する特別交付税措置を延長してほしい。

?統合・再編する病院の財政融資資金の補償金なし低利借換を認めてほしい。

?日本海病院が抱える24億円の不良債務に対して一般会計出資債を認めてほしい。

?独法化後の退職手当引当金の積立期間を現行5年で運用されているが長くしてほしい。

?独法化された後の地方財政措置の継続や建設費に対する合併

特例債の充当をお願いしたい。

○委員と自治体病院関係者(以下「関係者」と標記)との主な意見交換

・ (委員)病床利用率が一定ラインを下回る病院は警告を与える仕組みが必要
ではないか。

・ (関係者)同様の趣旨の助言を行っているところ。

・ (委員)地域の類似民間病院と比較して効率化を目指すべきではないか。

・ (関係者)その際は、病院の診療内容が全く同じかどうか、各地域で慎重に議論しなくてはいけない。

・ (関係者)自治体病院であるがゆえに、契約制度や議会の議決などの面で民間病院と同じように弾力的にはいかない面がある。

・ (委員)自治体病院の会計基準を民間病院と比較可能性のあるよう見直すことやデータ開示が必要ではないか。
・ (関係者)方向性としては同感であるが、会計基準の変更となると法令改正が必要であり、地方団体への影響も考えつつ慎重な検討が必要である。比較可
能性のための情報開示であれば、病院会計準則によることは現在も可能である。

・ (委員)自治体病院は概して過大投資の傾向があるのではないか。

・ (関係者)病院側も償却費の負担が経営上の重荷になっている場合がある。

・ (委員)自治体病院の建築費予算は議会で審議され、議決されているが、情報開示や判断材料の提供が不十分なのではないか。

・ (委員)例えば同一地域で国立病院や民間病院が立地しているところに、県立、市立の病院が競合している例がある。地域医療支援協議会で統合などに向
けた話し合いがされないのか。

・ (関係者)病院がなくなるというと周辺住民が反対する。当事者だけでなく、第三者も入って粘り強く説得しないといけない。

・ (委員)経営形態の見直しの選択肢として、独立行政法人化をどう評価しているのか。

・ (関係者)独立行政法人化も否定しない。ただ、指定管理者制度については、病院新設の際はよいが、既設の病院に導入する場合は、職員の雇用問題が苦労の種となる