2008.08.28

「地域医療再生への鍵は、人材育成と医療連携である」

月刊「新医療」9月号に掲載されている記事を一部ご紹介いたします。
千葉県立東金病院内科院長・地域医療連携室室長  古垣斉拡(ふるがきなりひろ)先生
「地域医療再生への鍵は、人材育成と医療連携である」

●千葉県の医療福祉の現状●
 千葉県は財政力指数 全国6位、県民所得 全国10位 
 しかし・・・社会福祉費、児童福祉費、老人福祉費においては全国47位(最下位)
 また、対人口比看護師数 46位。人口10万人あたりの医師数 45位(156人)
 医療福祉の水準は全国有数の後進県といえる

 08年度の千葉県予算のうち医療・福祉関連は軒並み削減
  ・がん対策事業(対前年比▲60%)
  ・医師確保対策(対前年比▲34%)
  ・公的医療機関整備事業補助(対前年比▲50%)

●山武地域における医療の惨状と再生●
 山武地域とは・・・
 千葉県・九十九里沿岸部。
 人口約25万人、病院2ヶ所、診療所90ヶ所。
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 九十九里沿岸部の人口10万人あたりの医師数は約90人
 医療過疎といえる
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 3つの公的病院(国保成東病院、町立大網病院、県立東金病院)については、医師研修義務化前の03年に28名在籍していた内科医が、義務化後の06年には8名まで減少した。
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東金病院については、11名の内科医が2名となり、救急医療などが維持できない状況にまで陥り、加えて、病床数と病院職員数の削減も行われた。
その後、病院の努力と地域の医師会、地域住民、行政の理解を得て、地域医療を守る取組を行った結果、徐々に回復をしている。
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●医療連携による地域医療の再構築●
 地域医療の再生には、これまでの病院と診療所の役割分担を再確認し、機能分担を進め、連携強化を図ることが不可欠である。
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 山武地域では、医師や薬剤師等の医療スタッフのヒューマンネットワークを構築し医療連携を図った。
東金病院は、通商産業省(現・経済産業省)の事業により、ITを利用した地域医療連携システム「わかしお医療ネットワーク」を構築し、地域全体を広域電子カルテネットワークでつながっている。
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 また山武地域では、治療マニュアル「SDMマニュアル」を用いた定期的な糖尿病研修会を開催し、診療所スタッフへの技術移転を行っている。(年4回)
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●緊密な地域医療連携の成果●
 糖尿病に研修会を開催する以前は、山武医療圏のインスリン患者1200名余りのうち、患者を管理している診療所は1ヶ所で患者数8名。
 現在、診療所は36ヶ所、患者数は450名までになった。研修会の定期的開催により、地域における生活習慣病の診療の平準化において大きな成果を上げた。
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●循環型地域医療連携の今後●
 病院勤務医が不足している地域では、患者が病院と診療所を年1回程度循環する「循環型地域医療連携」が効果的である。医療資源を共有し有効活用することにより、地域ぐるみの診療の質の向上と改善が期待できる。
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 前述の糖尿病研修による取組は大きな成果をもたらしており、循環型地域医療連携は糖尿病対策の重要な柱となることが明らかになった。
 今後は、医療費に及ぼす影響や合併症などの臨床上のアウトカム評価などを順次行っていく予定。

 千葉県では山武地域の地域医療連携の成果をもとに、08年度保険医療計画の中で循環型地域医療連携システムの構築を推進していくことが決定している。急性期から回復期、在宅に至る医療機関の治療と保険・福祉サービスを連動させる疾病毎・地域毎の「循環型地域医療連携システム」を構築予定である。