2005.09.26
診療科目別経営 第2回
MedicalManagement 2005年8月号
診療科目別経営 第2回 外科 大橋岳夫
診療科目別経営(外科)
1.外科の範囲は多岐に渡る
外科は内科と並んで中心的な診療科目である。しかし外科には多くの専門的な診療科があり、広告できる32の診療科の中でも、外科を含むものが「外科」「整形外科」「形成外科」「美容外科」「脳神経外科」「呼吸器外科」「小児外科」「心臓血管外科」「歯科口腔外科」と9種類もある。また、平成14年4月1日からは医療機関の選択がしやすいように専門医資格についても広告できるようになったが、こちらも外科を含むものが34種類のうち「外科専門医」「整形外科専門医」など9種類もある。このように外科の範囲は幅広く、外科単科を標榜する診療所も少ない。したがって、個別の内容は次回以降に譲り、今回は外科系診療所として述べていきたいと思う。
2.標榜科目の設定
外科診療所の患者数は、集計の方法によっても異なるが人口1,000人あたり2人前後であり、患者数としては少ない方である。また病院の数や救急医療の充実度によりさらに診療所としての機能は限られてくる。したがって外科医が開業する場合においても、一定の患者を確保するためには専門を併科する(消化器外科が専門であれば内科、消化器科など)必要があるだろう。実際にそのようにしている外科診療所が多い。
3.医療機器
単純な外来診療のみ行う場合は問題ないが、専門領域の診療も行う場合、医療機器もX線や心電計にとどまらず、CTや内視鏡、人工呼吸器など高額で高度なものが増えてくる。この場合、資金計画も重要である。資産の取得には購入とリースがあり、主な特徴を簡単にあげると以下のようになる。特に開業当初は資金繰りが苦しいので、リースの活用を検討していただきたい。

4.診療所の収支及び経費の節減
中央社会保健医療協議会の医療経済実態調査報告(平成15年6月)によると、外科診療所の平均的な月間収入は1,130万円、支出が950万円で収支差額は180万円となっている。収入金額は全診療科目の中でトップクラスであるが、利益率(収支差額を収入で割った比率)は約24%であり、40%を超えている眼科や耳鼻咽喉科、精神科に大きく劣っている。
この要因として、人件費(400万円)や薬品費(237万円)が他の診療科目より多額であることがあげられる。これらを含めた経費の節減について以下に述べていく。
1人件費
外科診療所の性格上人手がいるのは仕方がないが、(イ)配偶者に手伝ってもらう(税務上有利)(ロ)パートや派遣を活用する(ハ)基本給を低く抑えて各種手当で能力差をつける給与規程にするなどの節減の手法がある。なお、業者から医師の紹介を受けている診療所も見かけるが、紹介料が高い上に医師自身のモチベーションが低く、診療所の評判を損ねる場合も多いので利用は控えていただきたい。どうしても必要なときは近隣の診療所の医師にお願いするなどすれば、いざというときの連携にも活用できることになる。
2薬品費
薬品費については院内薬局から院外薬局への転換が進んでいることから見ても減少傾向にあるとは思われる。しかし、(イ)棚卸を定期的に行って過剰仕入を防ぐ(ロ)ジェネリックを使用して単価を下げる(ハ)業者との価格交渉や薬品メーカーの統一により仕入価格を下げるなどにより、さらに節減することは可能である。
3その他の経費
リースの活用については上で述べたので、ここでは地代家賃を挙げる。診療所の土地建物が自己所有の場合、診療所の移転は難しいが、賃貸であれば移転も可能であるので、今一度診療圏の調査と地代家賃の金額とのバランスを検討していただきたい。そのためにはまず、(イ)周辺地域の人口や年齢構成(ロ)昼間人口と夜間人口の差(市街地の場合)(ハ)他の診療所の所在地と診療科目(ニ)国道やバス交通網など人の移動の流れ(ホ)患者の住所などを分析することが必要である。これらを十分に検討した上で移転をするか、その場所で診療を続ける(=現在の患者数と支払っている地代家賃の金額は見合っている)か考えてみてほしい。最近では医療モール(専門の違う複数の医師がひとつの建物に入居するもの)が多くできてきており、このような場所では調剤薬局が同居しており、専門が違うため競合することもなく患者数を確保できる。しかも内装を家主が負担してくれたり、保証金が不要の場合もある。
地代家賃以外では、不要な雑誌の定期購読の中止など、経費の節減には定期的な見直しと対価性(使用頻度、効果が支払った金額に見合っているか)の検討が基本である。継続して努めていただきたい。

