2005.03.22
「認定医療法人創設の目的」
日本醫事新報社「日本醫事新報」2005年3月12日号
「認定医療法人創設の目的」長 英一郎
東日本税理士法人
長 英一郎
Q 認定医療法人をめぐっては、昨年十二月以降、厚生労働省を中心にして検討され始めているようであるが、厚労省のみならず、財務省や国税庁も含めた最近の動き、反応について。(大阪府 E)
A 厚生労働省は、平成一六年一二月一〇日に第四回「医業経営の非営利性に関する検討会」(以下、検討会とする)で、特定医療法人・特別医療法人の統合を視野に入れた出資持分のない新たな「認定医療法人」の創設に向けた議論を開始した。これを受けて、規制改革・民間開放推進会議は、一二月二四日に規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申を閣議決定し、答申に「認定医療法人」の創設を盛り込んだ。
さらに厚生労働省は、平成一七年一月一七日付で全特定医療法人・特別医療法人向けにアンケートを実施している。アンケート結果に基づき、特定医療法人・特別医療法人の承認要件の問題点を見直し、認定医療法人の承認要件を検討するとともに、財務省、国税庁との折衝に入ると考えられている。認定医療法人の創設は、平成一八年の第五次医療法改正の重要なテーマとなっており、平成一七年八月をめどに検討会の報告書をとりまとめる予定である。
厚労省は、現時点において、認定医療法人は医療計画において特定の分野の医療を担う主体として公的医療機関とともに位置づけ、?非営利性・公益性の徹底による国民の信頼の確保?効率的で透明な医業経営の実現による医療の安定的な提供を柱として、その創設を検討している。
?は、出資持分の放棄、残余財産の帰属を他の認定医療法人等に帰属、剰余金はすべて医療に再投資、理事・評議員の親族制限、地域住民に広く開かれた評議員会の設置等を指す。次に、?は医療法人の経営管理機能の強化、経営情報・事業計画等の情報公開義務付け、外部監査の導入等を指す。
この?と?の規制の一方、認定医療法人への移行促進のため、様々なインセンティブを認定医療法人に与える予定である。税制上の優遇措置、公募債の発行、特別養護老人ホームの運営解禁、自己資本比率規制の緩和、他の医療法人への出資等がそれである。税制上の優遇措置については、法人税率の軽減、寄附税制の見直し等が検討されている。
特に、法人税率については、厚労省は、財務省、国税庁との協議が必要であるため慎重になっている。厚労省医政局長によれば、「公立は無税なので無税を主張したいのですが、最終的にでてくるものがどの程度に落ち着くかというのは、議論の過程で出てくるかと思います。」としている。
医療現場からは法人税非課税を求める意見もあるが、税収不足の昨今においては国の財政当局・自治体のみならず国民の理解を得ることが必要になる。累積欠損、不良債務の拡大した自治体病院の受け皿に認定医療法人がなるのであれば、一般会計からの繰入を減少することが可能になり、民間の経営手法を導入した効率的経営が期待される。
認定医療法人が自治体病院の委託先の主体になるのであれば、法人税率ゼロの主張に合理性はあると考える。
[文献]
1)長 英一郎:Japan Medicine ,2005
(東日本税理士法人 長 英一郎)

